数学

ある教科書におけるΠの定義

脈絡のわからない方は、id:MarriageTheorem:20090204:1233682830 のコメント欄をごらんください。帰納的関数 (共立講座 現代の数学)作者: 広瀬健出版社/メーカー: 共立出版発売日: 1989/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る …

入力をそのまま出力することは一瞬でできるか

背景は id:MarriageTheorem:20090204:1233682830 を参照ください。元記事にある通り、入力をそのまま出力するアルゴリズムの計算量は、計算モデルに依存します。Turing機械で考えるとしても、入力テープと出力テープが別ならば、入力サイズに対して時間計算…

分類

論文にAMSのMathematics Subject Classification (MSC)を付記することが求められることが時々ありますが、いつも困っています。そのものずばり、computable analysis の項目がないからです。 03D45Theory of numerations, effectively presented structures …

無矛盾性証明とは何か、何であるべきか

ウヒくんと名乗るおそらく数学者の方のブログ記事「世界共通の言語」より引用 多くの人にとって自然数の存在というのは明らかであって、 したがってモデルが存在する以上、 自然数論(PA)の無矛盾性は明らかである。 とすると無矛盾性証明を試みる意図が…

不完全性定理は「現代科学の限界」なるものを示してはいない(号外)

id:wd0:20081005:a その後 あの方は、入門的教科書の引き写しに方針転換なさったようで(id:khideaki:20081120:1227143587, id:khideaki:20081121:1227277669)。従来路線が地雷を踏みまくりだったのと比べると、はるかに安全側に軌道修正です。あと、著作権侵…

不完全性定理は「現代科学の限界」なるものを示してはいない(その1つづき)

これまでのお話 不完全性定理は「現代科学の限界」なるものを示してはいない(その0) 不完全性定理は「現代科学の限界」なるものを示してはいない(その0つづき) 不完全性定理は「現代科学の限界」なるものを示してはいない(その1) 第二不完全性定理…

「不完全性定理」の本

Books.or.jpを使って、書名に「不完全性定理」を含み現在入手可能な本のリストを作ってみました。(2008年11月18日現在)おすすめ本のリストではありません。内容の評価はしていません。機械的に得られたリストを手で整形しただけです。ご承知の上ご利用くださ…

不完全性定理は「現代科学の限界」なるものを示してはいない(号外)

「「ゲーデルの不完全性定理は否定的かつ肯定的な結果である」という解釈ではいけないのだろうか」( id:MarriageTheorem:20081116:1226807605 ) へのお返事 「ガロア理論は、5次以上の代数方程式の代数的解法の不在を示すので、否定的な結果である」を認める…

不完全性定理は「現代科学の限界」なるものを示してはいない(号外)

「ブログ・エントリーのための覚え書き」(id:khideaki:20080928:1222593261)について、「あかんでしょ」と書いた(id:wd0:20080930:b)直後に、あちらのほうで、「うまい説明とは(id:khideaki:20081003:1222993885)」「形式システムにおける証明の概念(id:khid…

不完全性定理は「現代科学の限界」なるものを示してはいない(その1)

これまでのお話 不完全性定理は「現代科学の限界」なるものを示してはいない(その0) 不完全性定理は「現代科学の限界」なるものを示してはいない(その0つづき) 第一不完全性定理は「真であるが証明できないことが存在する」ではない 今日、第一不完全…

不完全性定理は「現代科学の限界」なるものを示してはいない(号外)

「不完全性定理は『真であるが証明できない文が存在する』ではない」を8割ほど書き上げて多忙のまま放置しているタイミングで、たまたま発見しました。「数学屋のメガネ」2008-09-28(khideaki著)より引用 ゲーデルの定理は、「自然数論において、真であり…

不完全性定理は「現代科学の限界」なるものを示してはいない(その0つづき)

これまでのお話 不完全性定理は「現代科学の限界」なるものを示してはいない(その0) 不完全性定理の「不完全」には欠陥や欠点のニュアンスはない 不完全性定理は、英語では incompleteness theorem 、仏語では théorème d'incomplétude 、独語では Unvoll…

等号について

くるるさん d:id:kururu_goedel の証明方法とか云々より 違います!集合のは、集合というオブジェクトとして等しいという意味です!!外延性の公理があるから全てのに対してが成り立っていればになってくれるというだけです!!!……というのが正しい集合論脳…

不完全性定理は「現代科学の限界」なるものを示してはいない(その0)

今ごろになって、ニューサイエンスの主張への反論を書くことになるとは、思いもしませんでした。ニューサイエンスなんて、流行ったのは四半世紀も前のことですよ。経緯については、TAKESANさんのところ「批判の仕方の話と科学的方法に関する話: Interdiscipl…

集合論に関するどうでもよい提案

平行線公理の否定を含む幾何を non-Euclidean geometry と呼ぶのに倣って、基礎の公理の否定を含む集合論を non-Neumannian set theory と呼ぶのはどうでしょう。こんなこと提案するくらいなら実践しろというのは承知していますが、自分の研究にAFAが出てく…

数理論理学の教科書

昨年度は、M1の学生の数理論理学を学ぶゼミを手伝って、まあ、定番の教科書を選びました。Mathematical Logic (Undergraduate Texts in Mathematics)作者: H.-D. Ebbinghaus,J. Flum,Wolfgang Thomas出版社/メーカー: Springer発売日: 1996/12/01メディア: …

断念

昨年、CCA 2007への参加を断念したのにひきつづき、今年もCCA 2008への参加を断念しました。来年こそは参加します!

数理論理学の三つの基本的な定理

「数理論理学の三つの基本的な定理(完全性定理・不完全性定理・カット除去定理)が一冊にまとまった本があると便利なんだけどなあ」といつもつぶやいていたんだけど、該当する本がみつかったかもしれません。スマリヤンの古い教科書が13年も前にDover落ちし…

NP

P=NP問題のNPをNon-Polynomialだと誤認している人って、かなりいますね。また、みつけてしまいました。この手のよくある誤解が広まらないようにするには、どうするのが良いのでしょう。正しくは Nondeterministic Polynomial だよと何かあるたびに言うのは当…

メビウスの帯

たまたま、ディスカバリーチャンネルをつけたら、「メビウスの帯はメビウスが発見した」と言っていた。発見者はリスティングなのに。2008-03-01 追記 再放送を録画して確認したところ、原音声では、"It's named after the 19th century mathematician August…

NFはRestriction of basic principlesか?

私の現時点での意見は、ZFがRestriction of basic principlesならば、同じ議論がNFにも適用できるはずというものです。もとの話は、id:ytb さんの2007-09-12 (水)の記事です。 ラッセルのパラドックスの解決法のFefermanによる分類で、ZFはRestriction of ba…

断念

諸般の事情で、CCA 2007への参加をほぼ断念しました。CCA 2004, CCA 2005, CCA 2006 と三回連続参加しましたが、今年、途切れます。 今回は三年ぶりのヨーロッパでの開催なので、特に行きたかったんですけど。あちらの皆さんの最近の動静を知るのに、とても…

構成的でないが計算可能

[仕事の話なので、いずれ、加筆修正の上、本業のページに移動の予定]最近の論文[1]から数年前の私の仕事[2]がやや唐突に参照されているのをみつけた。[1]では、Bishop流構成的数学でDiniの定理はBrouerの fan theorem (日本語はなんだろう)と同値であり、…

ざらざらした実数

くるるさんの「実数ってなんや!」id:kururu_goedel:20061203:1165133677計算可能性と計算複雑度で実数の階層を細かく調べようとすると、実数の表現として有理数のCauchy列を使うか無限小数を使うかDedekind切断を使うかで挙動が変わって、とってもとっても…

Mizar

天が落ちてくる心配はやめましょう。みなさん、Mizar(でなくて他の証明検証系でも同じだけど)をかいかぶりすぎ。今のMizarがそのままツールとして普及するはずはありません。そのような未来を心配する必要はありません。Mizarプロジェクトでわかったことは…

関数の名称

「惑星の定義」についての田崎さんの感想で、数学ではこういうことはないという話題に触れていて、そうだなあと思い出したことです。何年も前に、論文で Takagi function と書いたら、「van der Waerden function に直せ」と査読者にいわれたことがあります…