完全性定理って、そんなに難しいものなの?

小島寛之さんも、理論の完全性と理論のモデルに対する完全性(証明論的完全性と意味論的完全性)を混同しています。「ゲーデル本食い歩き - hiroyukikojimaの日記」より、該当部分を引用します。

命題論理の場合、「命題論理の完全性定理」によって、正しい命題(付値が1である命題)には必ず証明が存在するから、φまたは¬φのどちらかは正しいので、どちらかは証明できてしまう。

たとえば、\varphi として p を考えるだけで、引用文が間違いであることがわかります。原始論理式 p に対して、非論理公理なしで p\neg p も証明できるはずがありません。

吉永良正さんも、『ゲーデル不完全性定理』( isbn:4061329472 )で、まったく同じ間違いをしています。

「命題論理の完全性定理」をちゃんと理解していれば、こんなとんでもない間違いはしないんですけどね。完全性定理って、その主張を理解することすら困難な難しい定理ですか? 数学啓蒙書で実績のある二人が、そろってまったく同じ間違いを犯すほど,難しい定理なんですか?

2011年12月16日追記:
吉永良正さんの間違いについては、「書評」からたぐっていけるところに書いているので、必要な方は参照ください。小島寛之さんの間違いにもそのまま適用できます。