『数学ガール/不完全性定理』の帯の惹句の改良案の意図

昨日、結城浩さんの『数学ガール不完全性定理』の帯の惹句について、頼まれてもいないのに改良案を提示する、大きなお世話をしました。それに対して著者の結城さんから丁寧なお返事をいただきました。それを一つのきっかけとして考え直した結果、大切なのはどう改良するかではなくなぜそう改良すべきかであることに重い至り、別記事でさらに大きなお世話に励むことにしました。

私の改良案はこうです。


「僕」と三人の少女が
数学と論理の真実に迫る、
魅惑の数学物語。
ゲーデル生誕103年に捧ぐ。
変更点は三点です。

  1. 原文の1行目を削除
  2. 原文の3行目(改良案の2行目)の「「不完全性定理」」を「数学と論理」に変更
  3. 原文の5行目(改良案の4行目)の「、そしてすべての数学者に」を「生誕103年に」に変更

最初の削除については、くどくど説明する必要はないでしょう。

二つ目は、要は「不完全性定理」を消して、その分の文字数をもっと情報量のあることにあてたいということです。この本が不完全性定理を扱っていることは、副題に書いてあります。しかし、この本の想定読者の多くは不完全性定理とは何かを知りません。それならば、他の言葉を入れて、情報量を増やしたほうが得策と考えたからです。「数学と論理」が最良とは思いませんが、良案の一つではあると思います。

三つ目は、「すべての数学者」では大仰すぎると感じたからです。不完全性定理は、すべての数学者が理解している定理ではありませんし、理解すべき定理だとも考えられていません。捧げる先をすべての数学者とするのは大仰でしょう。

当日追記:「数学って、不完全だったの? 答えは、もちろんNO」は私らの世代にはうけるでしょうが、元ネタを知らない若い人には通じないおそれがあるので、惹句としては採用しづらいでしょうね。