大学入試センターの民営化について

大学入試センター:民営化検討の考え示す…枝野担当相」との記事が、2010年4月10日付けで毎日新聞のWWWページに載っているのを、いまごろ、みつけました。これに関して、二点指摘します。(三点目の追記あり

人件費について

記事によると、枝野さんは「(センター試験に)参加する国立大学からもう少し参加料を取れば、国から直接税金を回す必要がなくなり、民間的手法で回る」とおっしゃっているとのことです。大学入試センター独立行政法人であることで労働コストを抑えていることを、ご存じないようです。

現在、大学入試センターの科目委員(作題担当者と点検担当者。主にセンター試験に参加する大学の教員があたっている)に支払われているのは、賃金ではなく謝金の扱いになっています。これは、大学入試センターと科目委員は直接の雇用関係になく、科目委員はそれぞれの所属大学の入試業務の一環としてセンター試験の仕事をしているとみなされているからで、大学入試センター独立行政法人だから可能な解釈です。大学入試センターを民営化すると、センター試験は参加大学からセンターへの業務の外注になり、大学入試センターが科目委員と直接雇用関係を結ぶことになります。その結果、労災保険料など負担しなくてはならないものが新たに加わり、人件費が上がります。

独立採算化と民営化は別

民営化は独立採算化の必要条件ではありません。現に、独立採算な独立行政法人は存在します。国立印刷局造幣局です。

枝野さん、民営化は必要なんですか。独立採算化だけではだめなんですか。

追記:会場費他

参加大学から相応の参加料を取るなら、逆に試験会場を提供している各大学に相応の会場費を払い、試験監督や受付担当、センターとの連絡要員などを担当する教職員に相応の手当を払わなくては不公平です。それらもろもろをきちんと払ったら、参加料収入を超えて大赤字になります。それとも、不公平を制度的に強制して黒字を確保するのでしょうか。そのどこが「民間的手法」ですか?