助教授と准教授

2005年2007年(すみません、typoです)の学校教育法の改正で助教授が准教授に変わったのだけど、大学関係者以外にはまだあまり浸透していないようなので、何が変わったかをここにも書いておきましょう。知っている人には釈迦に説法で、ごめんなさい。

実は、助教授から准教授へは、単に名前が変わっただけではなく、法律上の位置づけが大きく変わっています。簡単にまとめると、以前の助教授は教授の補佐だと決まっていたけど、現行の准教授については教授との関係は法律上は特に決まっていません(もちろん、それぞれの大学の規則で決めるのは大学の勝手)。

学校教育法第五十八条より抜粋
(旧)

教授は、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
助教授は、教授の職務を助ける。
助手は、教授及び助教授の職務を助ける。
講師は、教授又は助教授に準ずる職務に従事する。

(新)

教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の特に優れた知識、能力及び実績を有するものであつて学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
准教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の優れた知識、能力及び実績を有するものであつて学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
助教は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の知識、能力及び実績を有するものであつて学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
助手は、その所属する組織における教育研究の円滑な実施に必要な業務に従事する。
講師は、教授又は准教授に準ずる職務に従事する。

つまり、以前の 教授–助教授–助手 は、被補佐・補佐の関係にあったのだけど、現行の 教授–准教授–助教 は職務は同じで偉さが違うという位置づけに、法律上はなっているということです。

この変化の実務上の影響のもっとも大きなところは、どの教授の下にもつかずに独立して職務に従事する准教授・助教の存在が可能になったことです。つまり、教授不在の研究室もOKということです。実際には、実質的に助教授がトップの研究室とか、研究室制度が実質的に崩壊していて一人一人が独立しているところとかも以前からあったのだけど、現行制度では、その実態に形式をあわせることも可能になりました。

もちろん、准教授が教授の職務を助けてはならないとも法律には書いてないので、大学の規則で助けると決めるのはOKです。教授を頂点とするピラミッド構造を維持したければ、それも大学で勝手にやってくださいということになります。