牛刀割鶏

佐藤優と「偏微分(笑)」・「不完全性定理」編(1):liber studiorum」にはてなブックマークで「それ以前に、佐藤優は「不完全」の定義を理解していないのが明白。」とコメントしたところ、次の記事で


ええ、その点は分かっていたのですが、 「不完全性定理」の内容について踏み込んだことを書こうとすると、気がつかないうちに地雷を踏んでしまいそうなので、極力具体的なことは書かずに佐藤のダメさが分かるような文章にしようとして苦心した結果が前の記事でして。
お返事をいただきました
意図は理解できますし、私も代案を持たないのですが、それでも牛刀感は否めません。

元記事は佐藤優の「不完全性定理」の濫用を批判していて、批判の根拠として『ゲーデル 不完全性定理 (岩波文庫)』を引いています。元記事が引用している佐藤の発言のでたらめさを示すのには、『ゲーデル 不完全性定理 (岩波文庫)』からの引用部はどう見ても牛刀です。佐藤のたわごとは、どうしたって「不完全性」の数学諸分野への影響なんて高度な話にはつながらないでしょう。数理論理学用語「不完全」の定義を理解せず、日常語「不完全」の語感をもてあそんで混乱した議論をしていることを指摘するだけで、佐藤の「知の欺瞞」を指摘するには十分です。

牛刀を持ち出すことで鶏を牛に見せてしまう逆効果が心配になるのだけど、杞憂ですよね。杞憂だといいな。