書評評(書評を対象とする評論)

今回読んだのは、ブログ記事「大人のための数学「無限への飛翔」: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」、志賀浩二さんの『無限への飛翔 集合論の誕生 (大人のための数学 3)』への書評です。

書評者は「結果は……惨敗だった。」と書いています。それは、そうでしょう。あの本は、予備知識のない読者をわかったつもりにさせる通俗書のテクニックをすべて排除して書かれている本からです。だからといって、予備知識のある読者に数学知識を提供する本でもありません。教科書として使えるほど体系的で充実した内容の本でもないからです。この本に書かれている程度の数学はとっくに理解している読者が、著者の数学観に共感したり反発したりして楽しむ本です。想定読者層が異様に薄い本です。ただし、異様に薄い層ではありますが、いつの時代にも必ず少数存在する確実なニッチではあります。

という背景に気づくだけなら、この本の内容を理解しなくても可能だと思うのだけど、書評者はいつ気づいてくれるでしょう。このシリーズは全巻読破する予定のようなので、遅くとも次の次の巻あたりでは気づくでしょう。この書評者の実力なら、内容は理解できなくても背景は読み取ってそこを書評するというアクロバティックな技を見せてくれるのではないかと、無責任な他人として勝手に期待しています。