続々 大学入試センターの仕分け

この件だけは時間が経ってから書こうと思って、待っていました。そろそろ良かろうと思って書きます。

大学入試センターを担当した仕分け人の中に、明らかに先方の提出した資料を読まずにいどんだ(あるいは、読んでも内容を理解する読解力がなかった)人が少なくとも一人います。

『評価結果』の「評価者のコメント」より、

独立行政法人が入試業務を独占的に実施する時代ではなくなっている。大学が共同設置する法人への移管を具体的に検討すべき。

大学入試センター試験は、独立行政法人大学入試センターが独占的に実施する事業ではありません。参加大学とセンターの共同実施事業であり、センターはそのうち、問題作成や採点など、一括して行う部分のみを担当すると決められています。そのことは、仕分け人には事前に渡されているであろう配布資料に、何度も何度も書かれています。
『配布資料 事業番号B-2-1-(1)』の「事業/制度概要 目的」の欄より(下線引用者)

大学に入学を志願する者に対し大学が共同して実施することとする試験に関する業務等を行うことにより、大学の入学者の選抜の改善を図り、もって大学及び高等学校における教育の振興に資する。

同「事業/制度の必要性」の欄より(下線引用者)

大学入試センター試験は、高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定するため、参加大学が共同して実施する試験であり、大学入試センターは、問題作成、採点、成績提供等一括して実施することが適当な業務を行っている。
(以下略)

同「他の主体(国、自治体、他独法、民間等)との連携・役割分担」の欄より

 国公私立大学と共同して実施(そのうち大学入試センターは、問題作成、採点、成績提供等一括して行うことが適当な業務を実施)

同「中期目標における記載」の欄より

大学とセンターが共同して実施するセンター試験は、(以下略)

また、当日掲示されたであろうスライドにも、センター試験が参加大学との共同実施事業である旨が、下線付きで書かれています。

センター試験が共同実施事業であることがこれだけ強調されているのに、「独立行政法人が入試業務を独占的に実施する」といっている仕分け人がいるのです。資料を読まなかったのなら不誠実極まりありませんし、読んでも理解できなかったのなら無能です。読んで理解した上でその現状認識に反対というのなら、むしろそれを述べるべきであって、そうしなかったのはやはり無能です。いずれにせよ、仕分け人失格です。

ただまあ、この手の審査会で審査側に一人だけ困ったちゃんが紛れ込むのは、一般論としては想定の範囲内で、他の委員が困ったちゃんの主張を結論に反映させないようにがんばれば良いだけなので、明らかに困ったちゃんな仕分け人が一人いるだけで全否定することはできないでしょう。実際、今までに出てきた資料を見る限り、この困ったちゃんの主張は結論には反映されていないようです。そう考えたので、これについてだけは時間をおいてから書くことにしていました。