株式会社サイバーエージェントの「男の子牧場」

非難囂々です。で、覗いてみたら、これは本当に最悪です。

2009年05月13日付プレスリリースより


株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長CEO:藤田晋東証マザーズ上場:証券コード4751)は、婚活女性向けの携帯サービスとして男性情報共有サイト「男の子牧場」を2009年5月13日に開始いたします。

結婚活動=婚活という言葉が社会現象になる中、現在の婚活において「恋人・結婚相手が欲しいと思った時、友人の紹介での出会いを求める」人が47%と大半を占めるなど(※1)、SNSの発展等と共に人脈ネットワークによるパートナー探しが主流となっています。このような背景を下に、新たに開始するモバイルサイト「男の子牧場」は、友人同士で男性情報を共有・紹介しあうことができる、女性向けコミュニティサイトです。

モバイルサイト上の「牧場」を通して、交遊のある男性の写真や簡単なプロフィールを登録(※2)、情報を管理することで、友達承認された会員同士、登録された男性データを閲覧することが可能です。このほかにも、日記、メール、伝言板やコミュニティといった機能を設け、無料で会員登録することができます。「男の子牧場」は婚活というテーマを通した女性同士のコミュニケーションを促進し、女性の婚活を応援します。

※ 1 出典:「ウエディングウォーカー結婚白書2008年」株式会社角川マーケティング ウエディングウォーカー調べ
※ 2 男性プロフィールの登録は、男性本人の同意が必要となります

大勢の人がこの企画の危険性を指摘していて、問題点の指摘は出尽くしていますが、これほどひどいものについては同内容の非難があちこちに掲示されることにも意義があるので、ここにも書いておきます。

他人の個人情報を登録して共有するサービスである。
これだけで、すでにプライバシーの侵害です。「男性プロフィールの登録は、男性本人の同意が必要となります」と付記されていますが、肝心の同意の確認の手続きがまったく書かれていません。相当のコストをかけてガチガチのシステムを構築しない限り、同意書を捏造して無断で登録する者が続出することが予想されますが、実効的な対策がありません。
自分が意に反して登録されているかいないか、登録を許可した場合でも、意に反した記述がなされていないか、確認する手段がない。
これも、プライバシーの侵害です。プライバシーの権利の一つである自己情報をコントロールする権利を侵害しています。 このサービスはSNSです。情報を共有するためには入会しなくてはなりません。しかし、このサービスは女性専用です。したがって、男性は入会できませんので、確認の手段がありません。 なお、仮に、自分の情報を確認するための入会を認めたとしても、プライバシーの侵害であることはかわりません。本人からの情報開示請求に対し顧客となることを要求することは、プライバシーを侵害する不当な行為です。

プレスリリースだけでも最悪のプライバシー侵害行為であることが読み取れるのに、その後、もっとひどい情報がありました。
サイバーエージェントではらたく広報担当のブログ」2009-05-14 10:39:14「男の子牧場のお問い合わせに関して」より


また、男性プロフィールの登録については、承諾なき登録を利用規約で禁止しており、明らかに承諾を得ていないと判断できる写真や誹謗中傷等のコメントなどについてはサイト内監視を行い削除対応を行ってまいります。
なんと、登録された後で不当な登録を削除するつもりです。同意を確認してから掲載するのですらないというのです。開いた口が塞がりません。昨今の情報漏れ騒ぎのことを何も知らないのでしょうか。

株式会社サイバーエージェントには、サービスの即時中止と社長名での謝罪を期待します。

追記1

男の子牧場個人情報保護法を守っているかを確認するため、以下のメールを送りました。


To: <プレスリリース記載のメールアドレス>
From: <こちらのメールアドレス>
Subject: 情報開示請求

株式会社サイバーエージェント 男の子牧場 担当者様

個人情報の保護に関する法律第二十五条の規定により、男の子牧場への私の個
人情報の登録の有無の開示を請求します。至急、開示手続きをおしらせくださ
い。

なお、電子メールは秘匿性のないメディアですので、このメールへの返信での
開示は行わず、手続きの提示のみをお願いします。

氏名(職業)

追記2

まさかそんな人いないと思うけど、抗議のつもりで開示請求しようとは思わないでくださいね。個人情報保護法は開示請求者から手数料を取ることを認めています。多少の金を払っても確認する必要があると思う方だけどうぞ。

個人情報保護法は、開示請求手続きを本人にわかるようにしておくことを求めています。ただし、どこかに掲示しなくても、問い合わせに遅滞なく回答するのでもOKとなっています。つまり、万一あちらがこの問い合わせを無視すると、個人情報保護法違反となるでしょう。ただ、メールの場合は不着事故もありますので、返事がなかったら配達証明郵便で再度問い合わせようかと思っています。

ちなみに、念のために、「このメールへの返信での開示は行わず、手続きの提示のみをお願いします」と書いたけど、普通は書くまでもないことですよね。開示請求者が本人かどうか未確認のままで開示しちゃったら、かえって問題ですから。ただ、今回は普通の状況ではないからこんなことになっちゃったわけなんで、念のため必要と思いました。