広島原爆の閃光はどこまで見えたか

1945年8月6日午前8時15分、私の父は爆心地から64km離れた現在の三次市の中心部にいて、原爆の閃光を見ている。そのことを思い出して、ちょっと計算をしてみた。

半径Rの球状天体の地上から高度hにある物体が発する光が見える範囲は、山も大気もないものとして\sqrt{2Rh}。地球の半径6400kmと広島原爆の爆発高度580mで計算すると、見える範囲は半径86kmの円内となる。現在の三次市は余裕でおさまり、現在の庄原市中心部にまで達する。瀬戸内海を越えて、松山や今治にも達する。

実際のところは、山の陰で見えなかったり、逆に大気による屈折や散乱でさらに遠くでも見えたりしたかもしれない。そもそも、爆発高度の580mという値もどこまで正確か怪しい。閃光を見た証言を見た場所の記録とともに収集整理しておく必要があるだろうが、どこかの機関が行ってくれているだろうか。まだなら、もう時間がない。