続 大学入試センターの仕分け

内閣府行政刷新会議から「事業仕分け詳細と結果速報 - 2010年04月28日」が出てきました。これと昨日午後から今朝にかけての報道を比較する限り、報道によって歪められたというとではなさそうです。

大学入試センターについての配布資料の「論点等説明シート(行革担当部局用)」から抜粋

大学入試センター試験の実施
1.本業務の実施に伴い検定料、手数料等の多額かつ安定した自己収入があるため、法人全体として運営費交付金に頼らない独立採算制へ移行すべきではないか。
(略)
2.また、大学側からの収入を増加させることを検討すべきではないか。
(略)
大学の入学者選抜方法の改善に関する調査研究
1.真に必要な研究に限定して行われているか。また、研究成果については適切に社会還元されているのか、本事業の効果を検証すべきではないか。
(略)

評価結果の「とりまとめコメント」から抜粋

当該法人が実施し、事業規模を縮減との結論とする。縮減の意味は運営費交付金に頼らないような構造で運営をやっていただきたいということである。ただ、その一方で受験料が上がっては困るので、印刷の問題を含めコスト縮減を徹底的に行ってほしい。さらに、自己収入の拡大については、利用者である大学の負担が本当に適正かどうかを含めて再検討していただきたい。

また、将来的な入試制度のあり方についても、これだけのコストを要して研究していることも踏まえ、きちんとしたビジョンを出してほしい

残念ながら、不見識なとりまとめですね。一方で「受験料が上がっては困るので」といっておきながら、他方では大学の負担増大をほのめかしています。すでに参加大学が相当な負担を提供していることは昨日書いた通りですが、さらに負担を増やすとなると、大学のセンター試験利用料を増やすしかありません。そんなことをすると、大学は増えた分の負担をどこかに転嫁しなくてはなりません。大学の個別試験の受験料に転嫁するのが、もっともありそうです。結局、受験生の支払う受験料は上がる結果になります。担当の評価者の方々は、最強の矛と最強の盾を同時に提供せよと要求していることを、ご自覚くださっているのでしょうか。

ところで、建前上も実際の運用上も、仕分け作業はあくまでも提言であり、決定は政府が行うことになっています。このとりまとめコメントも政策の最終決定ではなく、政府の検討作業がこの後に控えています。その一方で、現政権は目玉政策として高校の無償化を進めています。高校は無償化で大学は値上げだと政策としてちぐはぐだと考える人が多いでしょうが、現政権はどうお考えになるでしょうか。